十三こ目

昨日、知人の家で呑んだ帰り道。呑み足りなかったのでビールを買いにコンビニに寄った。
駐車場には数台の、いわゆる走り屋の車が停まっていた。 そのうち一台のバンパーがなくなっていて、数人の若者がしゃがみ込んでいた。
この近くにはいわゆる峠というところがあって、昼間は自転車とバイク、夜は車に攻められている。人死にが出るほどではないが、ガードレールや標識が曲がったり折れたりはしょっちゅうだ。
あの車のバンパーもどこかの公共物に付けた傷とひきかえにしたんだろう。
ビールの六缶パックを持ってレジに行くと、表の若者の仲間らしい二人が先に並んでいて、フランクフルトだの唐揚げだのを注文していた。
時間がかかりそうだ。糞が死ねや。
「しばやんもえらい車掴まされよったなあ」と、若者の一人。
「あれは事故車やったってことか?」
「どやろなあ、あんなん普通きれいにするやろ、事故車やったとしても」
奥から店員が出てきて、もう一つのレジから僕を呼んだので、二人の会話のそこから先は聞けなかった。
会計を済ませてコンビニを出て、くだんの車をあらためて見てみると、バンパーが無くなってむき出しになったシャーシの一部に、びっしりと大量の髪の毛が絡み付いていた。