歩兵の愚痴

http://katoler.cocolog-nifty.com/marketing/2004/07/post_7.html
殆どの人は同じ意見だろうし間違いではないと思う(´Д`)y-~
ただ、現場で毎日本を売ってる人間として二つだけ言わせてもらおう。

以前も書いたような気がするが、書籍の書店への卸値は優遇されてる書店で75%、だいたい77から80くらい*1、雑誌もそんなもんだけど、この状態で再販制度を撤廃したら書店は消滅する。
じゃあ卸値を下げればいいかと言うと、それも難しいんじゃないだろうか。卸値には版元から書店までの送料も含まれている。大量の本とともに引っ越しをした経験のある人ならわかるだろうけど、本というのは滅法重い。この単純な事実が本の原価を押し上げる。書店も流通も版元もこの事実から逃れられない。本を移動させる、その単純な作業にかかるコストが圧縮できないのだ。
本は情報であると同時にモノであることを忘れられると困る。

あと、取次が増益になるカラクリだけど、これは出庫と入帖の時間差のテクニックがあるので特に驚かない。取次が書店へ本を伝票を起こして出庫すれば、その本が何処にあろうとそれは書店の在庫になる。書店が取次へ返品伝票を起こして返品しても、その返品伝票が処理される*2まではその本がどこにあろうとそれは書店の在庫になる。これに延勘*3とか常備*4を組み合わせれば、売り上げ額が多少減少してても増益は出る。でもまあ、二大取次は80年代後半から効率重視ですけどね。わらい。

で、文句ばっかり言って対案を出さないとプクスされちゃうので出版業界はどうすべきかと考えてみたんですが、どうしようもねえなあ。
だいたい、本を書いたり作ったり売ったりしてる連中は食えるだけでありがたいくらいで丁度いいんじゃないでしょうか。
前線で泥に漬かってる歩兵としては、いまは生き延びる事しか考えられない。

*1:何処とは言わんが85%などと言う版元もある。

*2:この処理を入帖と言います。書店は出庫金額から入帖金額を引いた金額を仕入れ原価として取次に支払います。

*3:「のべかん」と読む。出庫した商品の支払いを数カ月後にすることを取り決めた契約。三ヶ月先の支払いだと三延とか言う。

*4:売れたら必ず補充する事を条件にまとまった数の本を一度に納品してもらい、支払いを半年とか一年後にしてもらう契約。補充分はその都度支払う。