七十三こ目

そういえば久しぶりに北白川バッティングセンターへ出かけたら、知り合いの風俗のお姉さんが子供を連れて来ていた。
福福しい女の子がお姉さんに抱かれてすやすや眠っていた。
出産祝いにドリンクカウンターで、缶コーヒーよりはましなドリップコーヒーを奢った。
「まあ、授かったって言うか取り返したんやけどね、この子」
ぽつりとお姉さんは呟いて、赤ん坊の手首を僕に見せた。
いなくなったテレクラのサクラさんの手首にあった傷跡と、同じ形で同じ数だけ細い痣がついていた。