2004-08-06 五十四こ目 百物語 「人轢いたんならなんぼ酒飲んでてもわかるよ」 「ふんふん」 「あの婆さんは空から降ってきたんや」 「ふんふん」 「それに、あの婆さんはいまでも俺を追いかけてきとるんや」 「ふんふん」 Sがぎょっと天上を見上げた。 釣られて僕も見たが、別段なんのかわりもない。 「きた、婆さんが来たあ」 Sが部屋を出ていった途端、アパートが揺れた。